アメリカにおけるインフレ動向とその原因 2023.07.01 ・日本の消費者物価は、2021年ごろまで落ち着いていたが(2020=100,2021=99.8,2022=102.3)、2022年ごろから上がり始め、直近データでは105.1(2023年5月)まで上昇した。これをどう見るのか、そしてそれをどう抑制していくのか、政府や日銀当局は厳しい選択を迫られよう。...
銀行システムのシステミック・リスク 2023.05.13 ・本年3月に始まったアメリカ銀行システムの不安定性がまだ収まらない。それにつけても思いだすのが、約10年前に起きた金融危機の時に論じられた金融システムの持つ固有な不安定性のことだ。...
デロング教授の「ユートピアへの突進」を読む 2023.04.08 ・デロング教授の「ユートピアへの突進」(仮訳:原題はSlouching Towards Utopia)を読了した。これは530ページの大著でなかなか読みごたえがある。 ・デロング教授はカリフォルニア大バークレイ校の経済史の専門家(1960-)。...
ChatGPTをめぐる議論 2023.04.01 ・ここのところ、ChatGPTをめぐる議論が盛んだ。 ・テスラの創始者イーロン・マスク等が、GPTのようなAIの開発を6か月停止したらどうかと提案したり、投資銀行のゴールドマンサックスは、こうした技術が3億人以上の雇用に影響をあたえるという分析を発表した。...
シリコンバレー銀行の破綻に関して 2023.03.18 ・最近のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻に関しては、フィナンシャルタイムズ紙の金融担当副編集長パトリック・ジェンキンスがうまくまとめている(以下その要約)。 *2008年の金融危機から15年が経った。銀行システムの健全性はその時とられた各種の規制策によって盤石に思えたが、その期待は裏切られた。...
世界経済の現状をどうみるか:デロング教授の意見 2022.12.04 ・最近読みだしたのが、経済史専門家デロング教授の、”Slouching towards Utopia(「ユートピアへの疾走」とでも訳すか)”だ。この本は1870年代から現在までの経済的変化を、特に産業革命とその経済社会的インパクトに焦点を当てて、壮大な歴史ドラマとして著わしている。...
バーナンキ氏のノーベル賞受賞に関して 2022.10.22 ・2022年度のノーベル賞(スウェーデン銀行賞)の一人にバーナンキ氏が選ばれた。ともあれめでたいことだ。 ・ただしちょっとした違和感を覚えた。以下それを説明する。 ・話は2008年の金融危機に戻る。当時バーナンキ氏はFRB議長を務め、金融危機からの経済回復に力を注いでいた。...
経済学に進歩はあるか 211030 ・たとえば物理学者に、100年前と比べて理論の進歩があったかと聞いたら、バカにされるだけだろう。化学者に同じ問いを投げかけても、反応は同じだろう。...
ケインズ・ティンバーゲン論争とその後の展開 2021.10.09 ・ケインズについて知らない人はいないだろう。ティンバーゲンはオランダ生まれの計量経済学者で、1969年にノーベル賞を受賞。 ・ティンバーゲンが国際連盟から委託を受け「景気循環論の統計的検証」を公刊したのは1939年だった。これは世界最初のマクロ計量モデルといわれている。...
インフレに対するサマーズの警告 2021.02.27 ・アメリカのバイデン政権はコロナショックの経済対策として、大幅な景気刺激策を打ち出した(2021年2月27日下院可決)。これに対して、ハーバード大学のサマーズが、この救済策はインフレを招きかねないとして、強く批判した。彼はクリントン政権時代に財務長官を務めたことで知られる。 ・サーマーズの批判は以下の通り。...