イーロン・マスクの思考様式
2026.06.06
・スペースXの株式公開を間近に控えて、テスラの創業者であるイーロン・マスクへの注目度が上がっている。ごく最近スロボディアンによる本(参考文献[3])が刊行されたが、未読なので、これについては別稿で触れることにする。
・テスラの元社長ジョン・マクニールによれば、彼の特徴はアルゴリズムにあるという。ここでいうアルゴリズムとは、次の手順を指す。①あらゆる要件に疑問を投げかける、②プロセス(またはその一部)から可能な限りのステップを削除する、③簡素化と最適化を行う、④サイクルタイムを短縮する、⑤自動化することであるという(参考文献[1])。
・これの具体例として、中島聡氏がブログで、マスクの衛星システムであるスターリンクを取り上げている(参考文献[2])。当初スターリンクは製造コストが想定の10倍、作っている数は必要数の10分の1でしかなかった。マスクは信頼するエンジニアチームを引き連れて開発拠点に乗り込み、寝袋を持ち込んで問題が解決するまで現場に居座ったという。つまりボトルネックにCEO自らが飛び込んで解決に取り組むというスタイルだ。
・マクニールのいうアルゴリズムを自ら生産現場に飛び込むことで実現するのがマスク流だろう。これを見て思うのは、日本の生産現場だ。日本の”えらいさん”はマスクのような覚悟もないし、また生半可な知識で現場に来られてあれこれ言われれば、現場がめいわくするだけだろう。こうしたところにも日本衰退の原因があるのではないか。かっての本田宗一郎ならマスクと同じことをやったに違いない。
(参考文献)
[1]ティム・ヒギンズ、「イーロン・マスクが突飛なアイデアを実現するために頼りにしている戦略書」、WSJ、2026.03.27
[2]David Senra,"How Elon Musk fixed Starlink",中島聡氏のブログ”life is beautiful”(2026.04.28)より引用。
[3]クイン・スロボディアン、「マスキズム」、樋口武志訳、飛鳥新社、2026
[4]中島聡、life is beautful,2026年4月28日号
