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日本の「夜明け前」?

日本の「夜明け前」?

・作家島崎藤村に「夜明け前」という小説がある(1929年初出、いまでも文庫で読める)。これは明治維新直前の日本政治経済の動揺を、信州木曽の馬籠宿本陣の当主青山半蔵の眼を借りて描いている。

 

・その中に米国領事ハリスが1857年江戸参府の際に、老中堀田備中守に提出した口上書が記されている(参考文献[1],p24)。その概要は以下の通り。

 

 *50年前より西洋はいろいろ変化してきた。蒸気船の発明によってカリフォルニアから日本まで18日で来れるようになった。また電信機の発明により遠方の事情もすぐ分かりワシントンが適宜対応できるようになった。

 

 *このような状況でアジア諸国は英国や他の欧州諸国による侵略に直面している。日本はいつまでも鎖国を続けていることはできない。

 

 *アメリカは日本との対等な通商条約の締結を望んでいる。

 

・1857年と言えば、明治維新まで10年余のことだ。このころから幕府がこの状況に対応できないことが明らかになり、薩長土肥のいわゆる西国4藩が同盟して新体制である明治政府を起こすことになる。

 

・さて話は現代に戻る。現代の「蒸気船や電信機」と言えば、AI(人工知能)だ。その進展は速くしかも日本はまるで存在感を示していない。こうした大技術革新が世の中の仕組みを変えつつあるとき、それに対応する政治経済組織をもたない日本には、やはり第二の明治維新が必要になってくるのかもしれない。

 

(参考文献)

[1]島崎藤村、「夜明け前」第2部上、p24