AI:ルカンの世界モデルに関して
2026.01.17
・ルカン(Yann LeCun、1960年生まれ)はメタの最高AI科学者として12年間務めたのち、退任し新たなスタートアップ(AMI Labs)を設立した(35億ドルの評価)。彼はチューリング賞受賞者(2018年)で、畳み込みニューラルネットワークの発明者。彼のメタからの独立は、スケーリング重視のLLM(大規模言語モデル)でなく彼自身のワールドモデルを構築するため。彼の言うところによると、メタが追及するLLMは基本的な限界(単語を予測する)により、AGI(汎用人工知能)を達成できないから。彼の言葉を借りれば、「飼い猫はGPT-4より常識がある」
・ルカンの言うワールドモデルとは、世界の仕組みを内部的に表現するAIシステム。つまり単にテキストを読み込むのでなく、それに基づき観察・予測・シミュレーションを行う。彼の表現を使えば、「子供がニュートンの本を読むのでなく、物を落として物理を学ぶ」やりかた。LLMは学習済みデータでは優れた性能を発揮するが、抽象的な一般化には失敗するという。
・ルカンによるとLLMはアーキテクチュア自体が行き詰まっている。これに対しワールドモデルは因果律を学ぶ。「ワールドモデルは、・・・因果律をシミュレートするAIシステム」。
・ルカンはメタでFAIR(基礎研究所)を率いてきた。しかし2025年10月メタはFAIRの人員削減を行う。またメタではアレクサンドル・ワンが最高AI責任者に就任し、ルカンはザッカーバーグでなくワンに報告するよう求められた。メタはLLMにすでに数十億ドルを投資ており、これに対する批判には耐えられなかったためと思われる。
・AIの世界は、上にみるように日々変化している。そこでいろいろな文献にあたるとき、残念ながら日本発のものをみることはない。ということはAI分野で、日本の存在感が日々薄れているということではないか。
(参考文献)
[1]Deleanoe Pirard,"World Models:How dreaming beats memorizing AI",Medium,Jan.02,2026[2] op cit,"Yann LeCun Quits Meta to build $3.5B world model AI startup",Medium,Jan.07.2026
[3] Melissa Heikkila,"Computer scientist Yann Lecun:'Intelligence really is about learning'"FT,,Jan.2,2026
