ウクライナ戦の行方
2025.10.18
・日本の新聞記事などを見ていると、ウクライナ戦でロシアの優位が確保されているような印象を受ける。実際のところはどうだろうか。
・アメリカの軍事評論家、ウェス・オドネル(Wes O'Donnell)がその辺の事情をうまくまとめている。彼は陸軍出身でTEDで講演したこともあり、その論旨は平明だ。以下彼の議論に従う。
*ウクライナが1991年に独立した時、ソビエトモデル型軍隊を保持していた。それは質より量を重視しており、師団と軍司令部は互いに重複し、指揮官は官僚主義に陥っていた。
*2014年、ロシアがクリミアに進出。
*2017年から2022年にかけて米軍ローテーションがウクライナ軍の近代化に大きな役割を果たした。
*その後ウクライナ軍はNATO化した(2019年)。つまり統合兵種と相互運用を重視した小規模な共同構造に移行した。
*具体的には、軍隊組織が、最新の諜報フィード、ドローン偵察、兵站パイプラインを一貫した作戦につなぎ合わせるよう、組み立てられた。これによってウクライナは精密攻撃、歩兵機動、電子戦を統合できるようになった。
*2022年にロシアが国境を越えた時、この改革が功を奏して、ウクライナは即興で対応できた。
・ウェス・オドネル氏は結論として、「NATOは、草原全体に血で書かれた適応、回復力、革新に関するウクライナ教訓から学ぶべきことがたくさんある」と述べている。
・これはウクライナ戦に関する叙述だが、日本にとっても他人事ではない。日本もウクライナのこうした貴重な体験から、様々なことを学ぶことができるのではないか。
・海外出張のため、2週間お休みします。
(参考)
[1]Wes O'Donnell,"Ukraine's Hybrid Army:How Kyiv built a force the Soviets could't imagine",Medium,Sept.26,2025
[2] "","Did Ukraine just create an electric iron dome?",Medium,June,27,2025
[3]Robbie Gramer and Meridith McGraw,"Trump says He would rather end war than send Tomahawks to Ukraine",WSJ,Oct.18,2025