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今ウクライナで起きていること:自律型兵器(autonomous weapons)の登場

今ウクライナで起きていること:自律型兵器(autonomous weapons)の登場

  2025.10.04

・ウクライナ情勢は日本から見る限り混とんとしているが、どうもウクライナ軍は新たな戦争技術を開発し、それが戦争の行方に大きな影響を与えそうだ。

 

・最近の報道(参考文献[1])によると、2025年6月に、ウクライナは、ウクライナ東部から数十機の小型クアッドコプタードローンを発進させた。これは人工知能によって駆動されており、人間の助けを借りずに、狩り・調整・殺人を行うようプログラムされていた。

 

・わずか数分でこの群れは3つのロシア砲陣を発見し、隊列を立てて攻撃した。機械は互いに会話し、ターゲットを分割し、それに到達する方法を計画し、協調的な攻撃を実行した。そこに人間は関与していなかった。何千時間もの戦場映像でトレーニングされ、機械学習によって改良されたアルゴリズムは、人間の頭よりはやく戦術状況を処理した。これは自律型兵器が現在戦で大規模に使われた最初の例だった。

 

・この技術を開発したのは、ウクライナの新興企業Swarmer社だ。この会社は今ではウクライナの戦場AIのトップ企業に成長した。

 

・この技術の登場によって戦争のやり方が変わった。従来の戦争では、人が目標を見つけ、いつ攻撃するかを決定し、武器を目標に向ける必要があった。しかしSwarmerのAIシステムは、人間に代わってミリ秒単位で意思決定を行うことで、攻撃プロセス全体を高速化する。これは軍備装置と民間インフラ、味方軍と敵戦闘員の違いを見分ける。

 

・ただし問題はある。このシステムは人間の兵士と同じレベルの判断力、慈悲、降伏を認識する能力を持っていない。人権団体の代表Mary Wareham氏は、これは「人間による有意義な制御なしに標的を選択して攻撃できるシステム」であり、その台頭によって武力紛争が起こりやすくなると述べる。

 

・ウクライナの交戦国ロシアも、これに対応して独自のAI搭載システムを戦闘に投入したという。また中国も、航続距離7,000キロで、最大100個の自律型攻撃プラットフォームを搭載できる高高度母船ドローン「九天」(Jiu Tian)を披露した。これは世界最大のドローン型空母と言われる。アメリカも同種のシステムを開発中だ(Replicator 1 Program).

 

・なおウクライナ国防当局者は、今週アメリカを訪問予定。この際、アメリカはロイヤリティーを払ってウクライナから戦場ドローン技術を取得するという。

 

・さて日本はどうなるのだろうか。AIもドローンに関しても、世界を驚かすような技術を持っているようには思えない。

 

(参考)

[1]The Furensic Archive,'The AI swarm that hunts Rissian Artillery-Autonomous Weapons changing everything',Medium,Sept.24,2025

[2]Michael Gordon & Alistair MacDonald,'Trump's Drone deal with Ukraine to give U.S. access to battlefield tech',WSJ,Oct.3,2025