· 

将来の戦闘機とは

将来の戦闘機とは

 2025.08.09

・日本は日英伊3国による次期戦闘機共同開発プロジェクトGCAP(Global Combat Air Programme)に参加し、2035年の配備開始を目指している。

 

・これに対し、人口わずか1,000万人の中立国スウェーデンは、戦闘機開発でも独自の道を歩んでいる。それは共同開発につきものの、官僚間の内紛、際限のない予算超過、大規模防衛プロジェクトの遅延を避けるためと言われている。スウェーデンは同国のサーブ社による新型多用途戦闘機JASグリッペンE/F(Grippen)の開発を進めている。ちなみにF35は15か国以上のパートナー国の要求を満たすために何度も設計変更を重ね、市場最も高価な兵器プログラムになったといわれた(参考文献[2])。

 

・現代は、ネットワーク化された戦争の時代だ。次世代戦闘機は有人・無人の連携、次世代ステルス、データ共有等を最初からデザインに盛りこまねばならない。未来の戦闘では、戦場をいち早く把握し、最速でデータを共有し、リアルタイムで意思決定を行う側が優位に立つからだ。

 

・スウェーデンが開発中の戦闘機は、有人機と無人機(ドローンなど)が連携し、センサーデータの共有、敵システムの妨害、ミサイル攻撃の調整など人間の直接的な操作なしに実現する分散型戦闘ネットワークの実現を目指している。これは将来の戦闘機の一つの在り方を示すものといえる。

 

・話は飛ぶが、かって日本は零戦や紫電改といった名戦闘機を世に出した。零戦は、小馬力のエンジンを積みながら徹底した軽量化でその優れた運動性能を実現した。また紫電改は川西航空の製作で、高馬力エンジンと空戦フラップの採用により優れた戦闘能力を発揮し、三四三空における同機の活躍は映画「太平洋の翼」などでよく知られている。

 

・最初に戻るが、北欧の小国スウェーデンが、独自に優れた戦闘機を開発し、その性能に世界が注目し始めている。”技術大国”日本はこうした路線を模索しないでよいのだろうか。

 

(参考文献)

[1]Wes O'Donnell,"Saab is quickly becoming the leader in defence technology",Medium,May 20.2025

[2]F-35: $2T in 'generational wealth' the military had no right to spend

The Joint Strike Fighter had a $200B price tag in 2001, now babies born that year are out of college and the plane is still not ready for prime time

Analysis | Military Industrial Complex military industrial complex pentagon spending Dan GrazierLucas Ruiz Aug 21, 2024

[3]FBS,"玄海原発にドローンとみられる3つの光『市場で手に入るドローンではない』2時間にわたり構内にとどまる”、2025.07.29"

[4]碇喜朗、「紫電改入門」、光人社、2003