トランプ不況の可能性
2025.06.07
・トランプ政権による関税引き上げ騒動は徐々に世界経済にマイナスのインパクトを与えつつある。おそらく今回のトランプ不況は、特に輸出に頼っている国には格別に厳しいものとなる。
・ではその実態はどのようになるのか。一つのヒントが韓ドラの「財閥家の末息子-Reborn Rich」に隠されている。
*このドラマは2022年に韓国で放映されたものだが、世界の金融危機時(2008年~2009年)の韓国の経済情勢をうまく描いている。
*当時輸出に頼っていた韓国企業は苦境に陥る。そのときこのドラマの主人公は無手勝流ながら、ドルを買い、いわゆるGAFA(Google,Amazon,Facebook,Apple)への投資を進める。
*そして見事にリッチへの道を進む。このドラマの見どころは、金融不況が韓国庶民の生活にもたらしたインパクトだ。庶民は藁にもすがる思いで株に手を出し失敗する。また勤めていた企業からの首切りに会い、解雇の恐怖に襲われる。繰り返すが、これは他人事ではない。今回のトランプ不況では日本でも同じような景色がみられるかもしれない。
*余談になるが、このドラマでもイ・ソンミンが出演しており、よい味を出している。彼は「ミセン」でもかっこいい上司を演じて印象深かった。
・トランプ恐慌が生じたら、(すでに財政赤字の積みあがっている)日本は財政拡張でこれに対応することは難しい。また日銀も金利引き下げ余地はほとんどない。つまり日本は伝統的な景気回復策には頼れない。すると大幅な円安が訪れる可能性が高い。これがインフレに結び付くだろう。
・経済を支える産業活動も心もとない。自動車では中国企業BYDが快進撃中だ。同社はすでにホンダなみの生産量を誇っている。日本でもコマーシャルを注力しており、筆者の知人の一人もBYD製のEVを購入したそうだ。日本車は残念ながら世界的なEV化の波に乗り遅れた。すでにアジア市場でもシェアが低下しつつあるという。何とか頑張ってほしいものだ。
・本来ならここで政治の出番ということになるが、これは産業以上にこころもとない。昨今の米騒動を見ても、日本政治がうまく機能しているようには思えない。
・トランプ不況は身近に迫っている。韓ドラ(「財閥家の末息子-Reborn Rich」)は他人ごとではない。ご用心。