GAFAの変調とAIの進展
2025.05.24
・GAFAとはGoogle,Amazon,Facebook,Appleの略で、いわゆるITのご本尊のことだ。これにテスラを加えれば、世界のITトレンドの去就を握る集団となる。
・最近その勢いにちょっと影が差している。やはりAIの影響が大きい。たとえば最近グーグルの検索トラフィックが減り始めたともいわれている。これは人々が検索の代わりにチャットボットのようなAIを使い始めているからだ。またアップルはAIの活用がiphoneなどで遅れている。またテスラの自動運転(FSD)も最近大きな進歩があったようには聞いていない。
・しかしAI自体の進展に一服感がみられるのも事実だ。それは、①性能向上に必要な学習データが限られていること、②AIのスケールアップが性能向上にどの程度つながるかやや疑問になってきたからだ。だからAIの伝道師アルトマン等が必死になって、こうした山が見える前にAIの収益化を試みているようだ(そうでないと開発資金が枯渇する)。ここでは、AIの今後の方向性を探ってみよう。
・第一はAIのローカル化だ。これはLLM(大規模言語モデル)でなく、SLM(small language model)の活用を意味する(Microsoftの開発したPhi-3など)。これならちょっとした問題の解決にLLMのお世話にならず、ローカルで現場に即した解を求められるかもしれない。
・第二は、脱NVIDIAだ。2010年代にカナダのヒントン教授らがCUDAの可能性に気づいてから、AIの計算にはNVIDIAのGPUが使われてきた。これに代わるものとして、たとえばAnthropic(オープンAIの元メンバが設立)はAWS(アマゾンのクラウドサービス)のTrainiumプロセッサーを使っている。これはアマゾンが2015年に買収したイスラエルの半導体設計ベンダーAnnapurna Labsが開発を行ったものだ。
・いずれにせよこの分野は進歩が速い。後発国日本は、日々注意深く変化を見極め、最適な追いかけ戦略を見極めていかねばならない
。
(参考)
・Tim Higgins,”The Giants of Silicon Valley are having a midlife crisis over AI",WSJ,May 15,2025
「シリコンバレーの巨人に『中年の危機』、AIが引き金」
・Tim Bradshaw &Michael Acton,”Nvidia seeks to build its business beyond Big Tech”,FT
May 19,2025
・Parmy Olson,"Supremacy",Macmillan,2024
・Gary Marcus,”Deep Learing is Hitting a Wall”,Nautilus,March 10,2022