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自動運転車の開発競争

自動運転車の開発競争

  2024.06.23

・自動運転車というと、イーロン・マスクのテスラの独占販売のように見えるが、着々とライバルが登場しつつある。ここではメルセデス(ベンツ)のそれを紹介する。

 

・メルセデスのドライブ・パイロット(Drive Pilot)はレベル3の自動運転を達成したようだ。これに対してテスラのFSDはレベル2にとどまる。

 

・ちなみにレベル2は部分運転自動化(システムが縦方向および横方向両方の車両運動制御のサブタスクを限定領域において実行)、レベル3は条件付運転自動化(システムが全ての動的運転タスクを限定領域において実行。作動継続が困難な場合は、システムの介入要求などに適切に応答)という違いがある(アメリカSAEの定義)。

 

・より砕いていえば、レベル3車では、(一定条件下で)ドライバーはハンドルから手を放し、目を道路に向ける必要なく、リラックスできる。Drive Pilotの場合、事故を起こせば、その責任はドライバーではなく、メルセデスとなる。レベル2車では、ドライバーは常に道路に注意を向け、ハンドルに手を置いて、いつでも自らコントロールできるようにしなければならない。

 

・ドライブ・パイロット(Drive Pilot)は昨年来カリフォルニア州で利用可能となった。現在同システムは中国の北京でもテスト走行を始めている。カリフォルニアの場合、Drive Pilot積載車は、サンフランシスコ、ロスアンジェルスとその周辺(詳しくは参考文献[2]の地図参照)、ラスベガスでこの機能を使えるようだ。ただし時速60キロ(37マイル/時)以内に限られる。まだシステムには若干の問題があるようだ。しかしそれはこの車が安全に留意するあまり、ややブレーキを使いすぎるといった面であり、メルセデス側は、このシステムはプロトタイプでまだ改良の余地があると述べている。

 

・実際に走ってみると、レーンチェンジ、交通信号への反応、複雑な交差路の横断、Uターン、救急車への対応、歩行者保護など、じつによくできているそうだ。ちなみにこのシステムの使用料は年額2,500ドル。

 

・テスラのFSDはレベル2で、しかもlidar(Light Detection And Ranging)や4次元レーダー、超音波探査を使用しないため、精度と冗長性に欠けるようだ。その使用料は99ドル/月。

 

・このままでいくと、Drive Pilotが当分この分野の先頭を走りそうだ。詳しくはメルセデスのHPを見てほしい(https://www.mbusa.com/en/owners/manuals/drive-pilot)。

 

・レベル3というと、ホンダが2021年に発売したものがあるが(100台限定、法人リースのみ、再リースなし)、Drive Pilotのようにアメリカの公道で認可は得なかったのだろうか。ホンダのTrafic Jam Pilot、トヨタのAdvanced Driveなどが発表されているが、公道でレベル3の自動運転を実用化したのは、今のところメルセデスだけのようだ。

 

(参考)

[1]Will Lockett,"Mercedes is humiliating Tesla",Jun.20,2024

[2]Mercedes Drive Pilot  https://www.mbusa.com/en/owners/manuals/drive-pilot