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ウクライナ戦の行方

ウクライナ戦の行方

  2024.05.12

・2022年2月に始まったウクライナ戦争も2年を経て、まだ解決の目途が立たない。最近イタリア最大の日刊紙ラ・レップリカ(La Repubblica)が下ネゴ中の停戦案なるものをすっぱ抜いた(参考文献[1])。

 

・それによると、ウクライナはロシアが占領した地域をあきらめる代わりに、NATOに即時加盟するという。たしかにトランプ氏が大統領になると、この停戦案が現実味を帯びてくる。

 

・もちろんこの案をウクライナ側が呑むかどうかはわからない。ウクライナ側は、トランプ氏が仮に大統領に就任した場合にも、彼の動向をまず注意深く見定めるだろう。またこの停戦案はヨーロッパ諸国にとっては、ロシアの侵略を認めることになり、懸念の種だ。いずれにせよ来年には、この戦争の行方がはっきりするというのが、ラ・レップリカ紙の見立てのようだ。

 

・この動きを見て思いだすのは、日露戦争時の奉天会戦だ(1905年2-3月)。これは日露戦争における最後の大規模な会戦だった。かろうじて勝った日本側は、すでに経済力が尽きていた。大山巌満州軍司令官は、参謀長の児玉源太郎を本国に戻し、直ちに戦争終結への交渉を始めるよう首脳陣に迫った。これは海軍大臣山本権兵衛の支持を得て、日本側は終戦への動きを強め、米国大統領ルーズベルトに仲介を依頼した。さらに日本海海戦(1905年5月)において日本側が完勝し、ポーツマス条約の道が開けた。

 

・話はウクライナ戦に戻るが、経済規模ではウクライナはロシアに及ばない。欧米諸国の援助があるというものの、それは各国の政治情勢に振り回される。となると、この辺で停戦の動きが出てきてもおかしくない。仮に停戦の場合、その条件は、中東や東アジアの政治情勢にも影響を及ぼす。日本にとっても、慎重な見定めが必要になってくる。

 

(参考)

[1]Ignacy Look,"A sensational scenario of th end of the war ",Medium May 5,2024

[2]Daniel Michaels,”NATO prepares to face Russia-and problems of its own”,WSJ,May 8,2024

 「NATOが直面する自陣営の課題 ロシアとの対峙で」

[3]司馬遼太郎、「坂の上の雲」、第7巻,文芸春秋、1999