· 

ノウハウの大事さ

ノウハウの大事さ

  20203.10.08

・前回のブログでは、太陽黒点数の変化が電波のとび具合に影響することを、筆者の高校時代の思い出と絡めて述べてみた。今回も高校時代の思い出を記してみたい。

 

・高校時代は、無線機やオーディオアンプの作成に夢中になり、仲間とともにいろいろな機械を自作していた。何せ部品の宝庫、秋葉原まで都電で20分程度で行けたから、とても便利だった。

 

・あるとき、皆で50メガ帯のトランシーバーを自作した。トランジスタの普及する前だから、真空管の利用だ。そのときには3A5という双三極真空管を使って、超再生というやり方で回路を組んだ。当時は周波数測定器もないので、コイルのサイズや水晶の発信周波数を50メガ帯に合わせるのに苦労したことを覚えている。

 

・こうして何機かトランシーバを自作し、お互いに「今日は」などと言い合っていた。初期のモデルでは通話距離はわずかに数メートルで、お互いの顔を見ながらの交信だったから、「これじゃ機械はいらないや」と笑いあったものだ。

 

・ところが部品の配置を工夫したり、コイルの形状を変えたりしていくうちに、どんどん交信距離が伸びてきた。1年後には、丹沢の大山頂上から千葉の無線局と交信ができるほどになった。つまり交信距離が数メートルから100キロ程度まで伸びたのだ。

 

・もとになった回路や部品は同じだ。ということは作り方次第で機械の性能は大幅に変わることを身をもって体験した。後に工学部に進学したとき、それをノウハウというのだと教えられた。つまりノウハウの大事さを身をもって経験したのだ。

 

・グローバル化によって、モノ作りが日本を離れて久しい。これは同時にノウハウの流出を意味する。これが日本経済の低迷にもつながったのではないか。

 

・蛇足になるが、筆者の今の仕事はソフト作りだ。プログラムを書くにあたってもノウハウは重要だ。コードをちょっと書き換えるだけで、計算速度が一桁上がったりする。こうしてみると、高校時代は無線機つくり、今はプログラム書きということで、やることに進歩が見られない。ちょっと反省した。