· 

太陽黒点数の異常増加

太陽黒点数の異常増加

  2023.09.30

・現在、太陽黒点数が異常な増加を続けている。これはNASA(アメリカ航空宇宙局)、NOAA(米国海洋大気圏局)、ISES(国際宇宙環境サービス)が共同で行っている予測値(2026年に100を少し超えたあたりでピークを打つ)をはるかに上回っている。

 

・太陽黒点の増加は、人工衛星の運用、無線通信、電力網などに悪影響を与えることがわかっており、今回のピークがどうなるかを研究者は懸念しながら見守っている。

 

・これから先は筆者の昔話になる。

 

 *筆者は1960年代初頭に高校生活を送っていたが、そのとき太陽黒点数はピークを打ち、ほぼ200に達していた。この種のデータをご存じの方はお分かりだが、これは黒点数の計測が始まって以来(1600年以降)の最高値だ。

 

 *当時、筆者の趣味はラジオ作りだった。筆者の通う高校は丘の上に位置していたから、屋上にアンテナを張ると、電波がよく飛んで面白かった。

 

 *ある日、50メガ帯で(FMラジオの周波数よりちょっと下)、先輩のコールサインを使って(失礼:当時は電信電話級がなかった)、電波を出していると、なんとオーストラリアから応答があった。相手のコールサインがVK4***だから、クイーンズランド州のアマチュア局だ。我々も泡食って、何とか応答したのを覚えている。

 

 *少し大げさに言えばテレビの電波が日本からオーストラリアに届いたのだ。これは太陽黒点がピークを迎え、地球の電離層に影響を与えたために起こったことだ。つまり電離層の壁がいくつか太平洋上にでき、それを経由して本来なら地球外に突き抜けてしまう日本の電波がオーストラリアに届いたのだ。この時ほど、宇宙の不思議さに心を打たれたことはない。

 

・この時は笑い話がたくさんあって、ロシアのテレビが北海道で見られたり、日本のトラックの市民無線がアメリカの同種の無線と混線して問題を起こしたりした。当時は人工衛星も大して飛んでいなかったから、笑い話ですんだのだが、もしも今回のピークが150を超えるようだと、宇宙空間の利用が進んだ現在、様々な影響が生じるかもしれない。ちょっと心配だ。

 

(参考)

・Zack Savitsky,"Peak solar acitivity is arriving sooner than expected,reaching levels not seen in 20 years",Science,15 Sep.2023