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中国の人口動態

中国の人口動態

  2022.09.03

・中国の人口動態はどうなるだろうか。

 

・中国の専門家も、中国の人口ピークが間もなく訪れることを認識しているようだ。中国の国家衛生保健委員会は2023年から2025年ごろにピークに達するとしている。他の専門家はピークの訪れるのはもっと早いとみている。

 

・中国では、1960年代に大飢饉の後ベビーブームが生じた(国連統計でみると、1961年には若干の人口減をみたが、1963年以降は2%以上の伸びを示している)。人口増を抑えるため、当局は1980年に一人っ子政策を導入した。これは大きな効果を収め、人口の伸びは1970年代の2.5%から2000年には0.7%に落ちた。この政策は2016年に廃止されたが、専門家は遅きに失したとみている。

 

・今の中国の若者は、豊かになったため、子供を多く持とうとはしない。また共働きのため、女性の出産年齢も高くなっている。こうしたことが今後の中国の人口動態に大きな影響を与えるだろう。

 

・国連の人口予測(UN World Population Prospects)の2022年版で、具体的な数字を追ってみよう。

 

・それによると、中国の人口は2021年に14.25億人でピークに達する。以後2050年には13.16億人、2070年には10.91億人、2100年には7.71億人に減少する。

 

・これを日本の人口動態と比べてみる。国立社会保障人口問題研究所の将来人口推計は,

予測値が2065年までなので、国連の人口予測を用いる。

 

・それによると、日本の人口ピークは2010年で1.28億人、その後2050年には1.04億人、2070年には8,350万人、2100年には7,380万人に減少する。

 

・面白いのは、人口ピークが日本が2010年、中国が2021年とわずか11年の差しかないことだ。人口だけが一国の長期的経済成長を決めるわけではないが、これを見ると中国の経済成長ピークも割りに早いのではないかという感じがする。

 

・その場合、中国がどのような対応をとるのか。これは世界経済にとっても大きな関心事だろう。

 

(参考)

・Yvaine ye,"When will China's population peak? It depends who you ask",Nature,Aug.25,2022

・UN,World Population Prospects 2022

・国立社会保障人口問題研究所、日本の将来推計人口、平成29年