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テスラの決算に関して

テスラの決算に関して

  2022.07.30

・テスラの2022年度第2四半期の決算が発表された。主要内容は以下の通り。

 

 *売上169億ドル(2021年同期のそれが119億ドルだから1.4倍)。車関係の売り上げが146億ドルと圧倒的に多い

 

 *純利益は24.6億ドル(2021年同期のそれが13.1億ドルだから1.9倍)

 

 *業績の背景:(プラス面)販売価格引き上げ、販売台数の増加、(マイナス面)原材料・配送コストの上昇。上海工場のコロナによる閉鎖。

 

 *生産台数:モデル3/Yは24万2千台(2021年同期のそれが20万4千台だから1.2倍)、モデルS/Xが1.6万台(2021年同期のそれが2千台だから8倍)。

 

 *工場別に生産能力をみると、カリフォルニア65万台、上海75万台以上、ベルリン25万台以上、テキサス25万台以上など。合わせて190万台。

 

 *車以外の販売では、エネルギー貯蔵(バッテリー)は110万kwh、ソーラーパネルは10.6万kwなど。

 

・テスラに関しては、いろいろ言われているが、ともかくEV市場を抑えるために、一途に拡大戦略をとり、それがコロナ禍や米中対立などにもかかわらず一定の結果を出していることが見て取れる。

 

・これに対して、追いかける側の既存自動車メーカーの動きはやや鈍い。たとえばVWはCEOだったヒルベルト・ディースを退任させることとした。またトヨタは初のEV(bz4x)が発売直後リコールとなった。

 

・ただしテスラの方もオートパイロットチームの責任者(Andrej Karpathy)が退任するなどやや波乱含みの面もある。

 

・今にして思うのは、DARPA(米国国防高等研究計画局、インターネットの開発でも有名)のグランドチャレンジ(ロボットカーレース)に、なぜ日本側が現地の大学と提携などして、参加しなかったのかということだ。そこでの数回にわたるレースで、自動運転の人脈がほぼ出来上がったからだ。

 

・今は日本でもEVブームで、新聞にその関連記事が出ないことはない。ちょっと前には日本のクルマメーカーが、世界一の生産量に酔いしれて、こうした変化に見向きもしなかったのがウソのようだ。

 

(参考)

・Tesla,Financial Statements,Q2,2022 Update,July 20,2022

・Richard Waters,”Tesla profits jump despite production turmoil and China shutdowns”,FT,July 21,2022

・Joe Miller,”’Ruffling feathers’:How VW fell out of love with Herbert Diess",FT,July 24,2022

・Facta,「限界露呈『トヨタ生産方式』」,2022年8月号