コロナショック:今後の見通し(2021年2月中旬時点)
2021.02.21
・各国のコロナショックの動向は、ワシントン大学IHME(保健指標評価研究所)の予測でみることができる。その最新版(2021年2月12日発表)によると、日本のCovid-19による死亡者数発生のピークは3月半ばとされている(参考文献[2])。もちろんそこでコロナ騒動が終わるわけではないが、今回の感染の波の先行きが見え始めてきたということだ。
・ではいつ頃正常事態に戻るのだろうか。それにはサイエンス誌の記事が役に立つ(参考文献[1])。
・それによると、すでに1月末で、世界中のワクチン注射済み人口は1億人に達したという。アメリカと中国では日々100万人以上がワクチン注射を受けているようだ。ヨーロッパはこれに遅れている。日本といえば、ようやく最近になって医療従事者がワクチンを受けられるようになったから、かなりの遅れだ。ただ運のいいことに、Xファクターのせいか、感染者数は、欧米に比べて少ない。
・ワクチンの防疫効果で参考になるのは、イスラエルの事例だ。イスラエルは人口900万人弱だが、同国政府はファイザーと交渉して、医療データを共有する条件で、早めのワクチン提供を受け、すでに人口の39%(350万人程度)がワクチンを受けたという。60才以上でワクチンを受けた人々を追跡調査すると(約13万人)、ワクチンによってCovid-19関連の入院は大幅に減る効果がみられたという。
・いつ正常に戻るかという疑問に戻る。”正常”とは、集団免疫が、ワクチン受診もしくは感染によって得られたときを意味する。問題は、ウィルス変種の影響だ。ただし変種が流行しても、ワクチンを打つことによって、発病リスクを下げることができそうだ。いずれにせよ、医療関係者は、コロナショックが落ち着くのは、2022年以降かもしれないとみている(参考文献[4])。
・ワクチンというと、副作用が気になる。現時点でワクチン(モデルナ製とファイザービオンテック製)の副作用はそれほどひどいものではいようだ(参考文献[3])。アレルギー反応を生じる人はごく少数のようだ。
・日本ではようやくワクチンが打たれ始めている。医療関係者の苦労は大変なものだと思うが、ワクチン接種の遅れなどをみると、政治がうまく機能していないという印象をうける。日の丸ワクチンがあれば、だいぶ事情は変わったろう。なぜ日本の製薬メーカーがワクチンを開発できなかったのか(アンジェスの小数例を除く)に関しては、別稿で取り上げたい。
(参考文献)
1)Jon Cohen,"How soon will Covid-19 vaccines return life to normal",Science,Feb.16,2021
2)IHME(Institute for Metrics and Evaliation<university of Wasington),COVID-19 Projections,Feb. 12,2021
https://covid19.healthdata.org/japan?view=total-deaths&tab=trend
3)Nature Briefing,"More evidence for COVID vaccine safety",Feb.17,2021
4)Tom Braithwalte,"Forget the 'beginning of the end',Covid is a permawar",FT,Jan.22,2021