· 

ネットの力

ネットの力

 2019.10.27

・久しぶりにオーストラリアに行ってきた。緑豊かな町並み、親切な人たち、何も前と変わらなかった。一つ気になったのは、日本人の存在感が薄れていることだ。

 

・今でも覚えているのは、1980年代のシンガポールの情景だ。バイキング形式だったが、一流ホテルの朝食の場で、日本人のおばさんがオレンジジュースをコップに注ぎ、その場で立ち飲みしたのには驚いた。確かにエチケットには外れているが、そこには経済力を背負った自信のようなものが満ちあふれ、日本の経済力もここまで来たのかという意味で、ちょっと感動した覚えがある。

 

・今回はその逆だ。よく見ると日本人の新婚風のカップルや修学旅行生などが居るが、ともかく影が薄い。すこしきつい言葉を使えば、墨絵の点景を見ているような感じがする。日本車は相変わらず売れているようだが、ともかく町に日本のインパクトはあまりない。逆に元気なのが中国人で、若者や家族連れが多く、豊かさが本物であることがわかる。

 

・話はネットに戻る。今回帰りの飛行機は10月25日(金)だったが、大雨で成田空港が閉鎖となり、乗る便がキャンセルになった。幸いにも関西空港行きの便がすぐ取れ、それで帰ることにした。

 

・筆者は、関西空港は初めてである。実は今回の旅行ではiPhoneのsimフリー版を持って行った。到着時に空港で、約2000円程度を払って(ディスカウントがあった)、オーストラリアでスマフォを使えるようにした。

 

・このスマフォを使い、まず関西空港から大阪までの交通手段と時間を調べた。すると南海電車を使えば難波まで約一時間で着くことがわかった。空港到着は夜なので、当日は大阪泊まりだ。さっそくブッキングコムで調べると難波付近のビジネスホテルが見つかった。それを予約して一安心だ。

 

・他の乗客はフライトアテンダントに助けを求めていたが、彼女らは丁重に応対するものの、接続便やホテルの利用可能性などに関して、特にリアルタイムの情報は持ち合わせていないようだった。要するに航空会社より、ネット上の情報が便利な時代になったと言うことだ。

 

・これがネットに関する第一幕だ。難波のホテルに着いてから、さて翌朝の新幹線の時間を調べようとしたところ、(当然のことだが)オーストラリアのsimカードは日本国内で使えない。というわけで日本ではネットの利用ができず、一種の情報禁断状態に陥った。これが第二幕だ。つまりネットの便利さと、無いことの不便さを同時に味わったことになる。次回の旅には、日本で使えるsimカードも持参することにした。帰国時にそのsimカードをiPhoneに装着すれば、この問題は解消する。

 

・いずれにせよ、ネットの威力を十分に味わった旅の一幕だった。逆に言えば、ネットワーク時代の今日、ネットを使えるのと、そうではないのとの差(いわゆるディジタル・ディバイド)が非常に大きくなっていることをしみじみ感じた旅だった。