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日米自動車摩擦:アメリカの言い分

日米自動車摩擦:アメリカの言い分

 2018.07.21

・最近の報道を読むと、アメリカは輸入車の関税引き上げを行う可能性が高くなってきたようだ。

 

・これに対する日本側の言い分は、次の通り。

(1)日本メーカーは、すでにアメリカ国内で400万台弱を生産しており、現地の雇用にも多大な貢献をしている。

(2)アメリカは現在でも車に2.5%の関税をかけているが、日本は無税(ただしこれには、日本の自動車税が、とくに乗用車の場合、エンジン容量別に税率が決まっており、高排気量のアメリカ車には不利にできているという指摘がある)。

 

・日本のマスコミにはあまり出ては来ないが、たまには相手の立場に立って、この問題を見てみよう。

 

・図はアメリカの主要国との乗用車輸出入を見てみたものだ。これを見ると、日本がダントツでアメリカへの乗用車輸出台数が多いことがわかる。しかも日本のアメリカ車輸入は、他国に比べ少ない。

 

・すなわち、日本車のアメリカへの輸出は171万台に対し、アメリカからの輸入は2万台に過ぎない。これに対し韓国はアメリカに96万台輸出し、6万台輸入している。ドイツはアメリカに55万台輸出し、アメリカから19万台輸入している。

 

・この図を見ると明らかなように、自動車問題は、実は”日本車問題”であることがわかる。いくら安部さんがトランプ大統領と個人的に仲良くしても、この図に対するきちんとした説明をしない限り、アメリカ側は納得しないだろう。

 

・おそらくトランプ大統領は、日本に対し、アメリカからの輸入拡大(武器や天然ガス?)を迫るだろう。いずれにせよ日本からの乗用車輸出は難しくなる。その場合の経済効果は、国全体と言うより、自動車依存の高い特定県に大きなインパクトを与えることになる。

 

・この点に関して、当方は開発中のe予測47県システムを用い、愛知県を対象として、自動車輸出が削減されたときの経済効果を試算してみた。これは11月に開かれる学会で発表予定である(現時点では、採択の採否がはっきりしていない)。

 

・これからも日本は、様々な経済課題(今回は日本からの対米乗用車輸出)に直面するだろう。e予測システムはこうした課題に対して、そのインパクトと解決方向を探索するためのツールである。ちなみにe予測47県システムは本年9月発売予定で、無料のお試し版もdl可能となっている。興味ある方は、ぜひ使ってみていただきたい。