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自動運転と最近の動向

自動運転と最近の動向

  2017.09.17

・最近は、池上さんまでがテレビでテスラの大衆車登場に関してコメントするようになり、自動運転やEV(電気自動車)もようやく日本で認知が始まったようだ。

 

・この分野の世界的な競争は激しくかつ変化が速い。最近目に付く2つの動きについてふれておく。

 

第一は自動運転をめぐるトップメーカーの争いだ。最近だけでもGMのクルーズ(Cruise Automation)買収発表(1,000億円以上といわれている)。インテルによるモビルアイの買収(1.5兆円といわれる)などが話題を呼んでいる。こうした外部の技術を買収することで自動運転を進める方向とは別にアルファベット(グーグル)のWaymoは自前路線を貫いている。今回ウーバーとの訴訟沙汰で、アルファベットによるWaymoの投資額が外に出てしまった(フィナンシャルタイムズ紙の特ダネ)。その投資額は2009年から2015年までに総額11億ドル(約1,200億円)に上るという。自動運転を実用化した企業は、今後数10年にわたる自動車市場の死命を決する手段を持つことになる。この意味で、勝者皆取りを目指して、激しい競争が行われている事実を、これは示している。

 

第二は、トラックの分野での動きだ。テスラの創業者イーロン・マスクは、中距離型EVトラック(運行距離200-300マイル)への進出を計画中だ(ロイターによる)。実際、マスクは6月の株式総会でトラックへの進出を明言している。たしかにこの輸送距離では、バッテリーと走行距離のバランスはとれる可能性があり(カーネギー・メロン大学の研究)、また輸送量のシェアは全体の約3割を占めるという(アメリカ)。しかもこのトラックに自動運転機能を付加すれば、初期投資はともかくとして、運航費用の大幅削減が可能になる。

 

おそらく5年以内に、乗用車や中距離トラックのEV化と自動運転化は実用の域に達するだろう。それにしても日本のメーカーは、日産・ルノーのEVを例外にして、こうした競争における存在感が薄いのは問題だ。

 

(参考)

Hook L.,"Court reveals Alphabet's $1.1bn investment in self-driving cars",FT, Sept.16,2017

Vartabedian,"Exclusive:Tela's 'long-haul' electric truck aims for 200 to 300miles on a charge",Reuters, Aug.11,2017

Sipad S., and Viswanathan V.,""Performance Metrics Required of Next-generation Batteries to make a practical semi-track"ACS Energy Letters,2017,2,1669-1673

Gigazine,”テスラが発表間近のEVトラックは一度の充電で320㎞-480㎞の航続距離を狙っている”、2017年8月25日