日本の”失われた25年”とe予測

日本の”失われた25年”とe予測

  2017.08.26

 ・最近フィナンシャル・タイムズ紙を読んでいたら、”中国ハイテク三冠王の勃興”という記事が目についた。

 

 ・ここでは中国ハイテクの三冠王(Baidu,Alibaba,Tencent、合わせてBATと呼ばれる)を取り上げている。しかし筆者の興味を引いたのは、そこに示された世界企業の時価総額ランキングだ。

 

・これによると1位はアップルで7,800億ドル(値はWorld Stock Market Capによる,以下同様)、2位はアルファベット(グーグルのこと)6,500億ドル、3位マイクロソフト5,600億ドル、4位フェイスブック4,900億ドル、5位アマゾン4,700億ドルなどとなっている。そしてこの記事の対象である中国のアリババとテンセントがそれぞれ7位(3,900億ドル)と8位(3,800億ドル)を占めている。なおBATの一角をなすバイドゥは時価総額800億ドル程度でこのランキングには入らない。

 

・世界ランキングからは、アメリカのハイテク企業が上位5位を独占していることがわかる。フィナンシャル・タイムズ紙のポイントは、このランキングに中国のハイテク株が入りつつあることである。

 

・問題は日本企業の影が薄いことだ。日本企業でトップのトヨタがかろうじて50位以内に入っているにすぎない。日本経済はGDP規模で世界第3位だが(1位アメリカ、2位中国)、日本企業は世界経済において,この規模に見合った活躍をしているとは言いがたい。野球にたとえれば、チーム成績は上位にあるのに、腕の良い打者が見当たらない。これは早晩チームの没落を招くだろう。

 

・日本は1990年代以来、名目GDP規模で停滞を続けている。これは”失われた25年”と呼ばれている。つまり財政拡張のみで、かろうじて経済規模を維持している。これは早晩財政危機という形でより深刻な問題を生じるだろう。この9月に発売するe予測:2025シミュレータではこの問題が、取り扱われている。

 

・2025シミュレータで“スタート画面"から、”企業動向”に入ると、17業種(食品、鉄鋼...ラクジュアリー、IT業界など)別に、世界のトップ企業と日本のトップ企業の売上げや利益の内容が比較されている。たとえば薬品分野では世界企業がファイザー、ノバルティス、アムジェン、日本企業は武田薬品、アステラス製薬である。またラクジュアリー分野では世界企業はLVMH、リシュモン、ティファニー、日本企業は資生堂とポーラとなっている。分野毎に日本と世界の企業を比べることで、日本経済の問題点を浮き彫りしようというのである。

 

・なお自動車分野ではトヨタをはじめとして日本企業が世界のトップ位置を占めている。これは日本経済にとってありがたいことだが、ここでも問題が生じ始めている。それはEV(電気自動車)化と自動運転が世界の潮流になっていることだ。トヨタやホンダは燃料電池車に固執したあまり、このトレンドに乗り損ね、現在必死に巻き返しを図っている。これが成功すれば良いが、そうでないと日本の自動車メーカーが今後、現在の地位を維持することは難しいだろう。

 

・話は企業の時価総額に戻るが、アベノミクスは国内株価を維持するため,年金ファンドや日銀を使って株式市場に資金を投じている。しかし世界の目は冷たい。株価対策のもっとも有効な手段は、アップルやグーグル(アルファベット)のようなIT革新の波に乗った企業が日本でも登場できるような土壌を育てることであり、時代遅れの日本企業の株価維持を図ることではない。この意味でも、”失われた25年”の教訓を日本政府は生かそうとはしていないようだ。

 

(参考)

Louise Lucas ,The Rise and Risel of China's tech trinity,FT,Aug.21,2017

 

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