イーロン・マスクとハイパーループ

イーロン・マスクとハイパーループ

  2017.04.08

・ちょっと前のことだが、財政資金の投入による、リニア新幹線による東京-大阪間の前倒し開業が決まった(2016年8月)。つまり政府主導によるリニア新幹線の開発促進だ。

 

・しかしアメリカでは、民間主体で新たな高速交通網の開発が進みつつある。

 

・それはテスラやスペースーXの創業者であるイーロン・マスクが提唱するハイパー・ループ方式だ。これは減圧したチューブの中を車両が空中浮上して、高速で進むというものだ。すでにご存じの方も多いだろう。

 

・そもそもマスクがこのアイデアを思いついたのは、ロスとサンフランシスコを結ぶ高速鉄道計画のコスト推定があまりに高かったためだという(700億ドル、ウィキペディアによる)。これに対しハイパーループ方式だと約70億ドルで済むという。

 

・もちろんハイパーループ方式にも解決せねばならない技術課題は多い。しかしハイパーループが、リニア新幹線と異なるのは、インターネット時代にふさわしく、世界から衆知をかき集め,技術的困難を解決しようとしている点だ。

 

・2017年1月29日に、マスクのスペースーX社は、ハイパーループ方式の開発促進を狙って、ハイパーループ・ポッド・コンペティションを開催した。これには世界から応募があり,そのうちの27グループがパスし、実際の走行テストに参加したという。さらに同社は2017年夏にも第二回のハイパーループ・ポッド・コンペティションを計画している(詳しくはスペースーX社のhpを参照のこと)。

 

・こうした技術開発面だけでなく、実際の商売でもハイパーループは動きを見せ始めている。ハイパーループの商業化を目指すハイパーループワン社はドバイの運輸局とハイパーループのフィージビリティ・テストを行う契約を結んだ(2016年9月)。これによるとドバイとリアド間を48分で結ぶという計画の実現に当たるという。

 

・日本でもリニア新幹線の輸出構想などがあるが、アイデアの新奇性とコスト面で、こうした構想に太刀打ちできるとは思えない。今日本で必要なのは、マスクのような、アイデアが豊富でリスクを恐れない経営者だ。日本は社会主義国家ではないのだから、何かと言えば、政府頼みにしてリスクを取らない経営者は不要の存在だ。

 

参考文献

1) Simeon Kerr,"Hyperloop plans prototype transport system in Dubai bu2020",FT,Nov.9,2016

2)橋山禮次郎、「リニアに財政資金の禍根」,ファクタ、2016年10月号

 

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