トランプ氏が大統領になって、日本からの乗用車輸出が強制的に減らされる可能性が出てきた。
ここでは産業連関表(2011年表、105部門)を用いて、その経済効果をみてみることにする。具体的にはプロジェクト分析という手法を、エコノメイトIOを使って適用する。
主な結果は以下の通り。
・仮に1000億円の乗用車輸出が削減されたとする。2014年の対米自動車輸出が3.6兆円程度だから、あまり大きな数字ではないが、それでも1台200万円とすると、5万台分程度にはなる。
・生産額減少の合計値は5,500億円程度となる。輸出減の約5.5倍だ。
・削減幅の大きいのは、乗用車部門1,020億円、自動車部品890億円、商業460億円、などである。
・面白いのは以下にサービス関連部門が並ぶことだ。金融・保険160億円、他の対事業所サービス150億円、飲食サービス110億円、この下に鋼材部門の110億円減が来る。要するに乗用車輸出のインパクトはサービス部門にも大きな影響を与えそうだということだ。これは対策が自動車関連のみに目を向けがちだが、より広い観点が必要なことを意味する。・逆に影響を受けないのは、建設やIT関連だ。ここで対策が2つに分かれる。従来型の公共投資重視の財政増で行くのか、それとも将来の産業構造を見据えて、IT関連を重視するのかだ。これによって日本の将来の産業構造の姿も決まってくることになろう。