「コンピュータは人間のように考えられるか」という有名な質問がある。現代コンピュータの基礎を築いたアラン・チューリングは、それをテストするのに、コンピュータと人間が対話して、人間がそれを人間同士の対話とみなしたら、それがコンピュータが「人間のように考えられる」証拠だという、いわゆるチューリング・テストを提案した。
FT紙によれば、最近のスーパーコンピュータはこのテストに合格したようだ(”Thinking machines are ripe for a world takeover”,FT,June 10,2014)。最近英国のリーディング大学で行われた実験によると、5分間のテキストによる対話のあと、審査員の3分の1が、その対話を13歳のウクライナの少年とのものと判断したようだ。ただしこれについては,現在激しい議論が戦わされており、本当にチューリングテストに合格したかどうかは、まだ議論の余地がありそうだ。
いずれにせよ、最近のAI(人工知能)の発達は、目をむくものがある。MITの研究者ブライジョルフソンとマカフィーは,その著書“第二の機械時代”(The Second Machine Age,W.W.Norton,2014)で、ここ数年のコンピュータの進歩は新たな局面に入ったと指摘している。問題なのは、この大競争において日本の影が薄いことだ。
すでに世界のIT企業は、技術の争奪戦に入っている。グーグルは,最近英国のAIスタートアップであるディープマインドを買収した。グーグルは無人走行車ですでに有名である。またフェースブックは昨年12月にAI研究所を立ち上げた。同様な動きは百度でも始まっている。
AIのことを、最近ではdeep learningと呼ぶようだが、日本の場合には、高度な見識と優れたプログラミング能力を備えた人材が不足している感じがする。たとえばアメリカの発明家レイ・カーツワイルや、プログラムは書かないかもしれないが、知の水平線を越えるドイツの心理学者でジャズミュージシャンのギガレンザーなどが頭に浮かぶ。
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