先進国成長の将来

ロバート・ゴードンはノースウェスタン大学教授で、アメリカの長期的発展の権威である。彼が2012年に発表した論文、“Is U.S. Economic Growth Over?”はアメリカ経済の今後の長期的停滞を、過去2世紀に渡るデータによって説明し、大きな反響を呼んだ。

 

 その後、この論文を巡って、賛否両論が戦わされたが、彼は先月、こうした論争を踏まえた上で最新版のペーパーを発表し、現在議論が沸騰している(”The Demise of U.S. Economic Growth: Restatement,Rebuttal, and Reflections”,NBER WP.19895)。

 

 そこでの結論は、1891年から2007年の一人あたり所得(人口に占めるトップ1%を除く)の年成長率は2%であった。今後の成長に対する逆風(人口要因で-0.3%、教育の低迷で-0.2%、不平等の進行で-0.5%、政府負債の増加で-0.2%、1972年以降の技術進歩の停滞で-0.6%)を差し引くと、今後の長期的成長率は0.2%にとどまるという。

 

 いくつかの論点がある。第一はIT革新のインパクト(IR#3)をどう見るかだが、彼は、産業革命(IR#2)に比べてそのインパクトは一面的で、かつ短期にとどまったという。これはIT革新の消費者余剰を巡る議論と相まって今後も論議の的だろう。これの対極にあるのが、Brynjolfsson & McAfeeThe Second Machine Ageだ。

 

 もう一つの点はエネルギー・環境問題に関して、定性的な意見表眼にとどまり、論議があまりなされていないことだ。これに関しては、最近のStern等のJELに載った論文が参考になろう。

 

 

 賛否どちらの意見をとるにせよ、必読の文献である。

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