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AIとツルカメ算

AIとツルカメ算

  2023.12.17

・今はやりのAI(人工知能)だが、オープンAI(ChatGPTを開発、サムアルトマンの解任騒ぎで注目を浴びる)が開発中の新型AIであるQ*に関して、面白い情報が出てきた。

 

・Q*は、AIジャーナリストのティモシー・リーによれば、大規模言語モデル(LLM)をアルファGO(碁の世界チャンピオンを打ち負かせたことで有名)の探索木(SEARCH TREE)と組み合わせたものであるという。

 

・それがないと、大規模言語モデルは数学問題を解くのに、小学生がよく使うツルカメ算的な思考様式を使うらしい。ではツルカメ算とはなにか。

 

・会社の若い同僚に聞いてみたら、ツルカメ算は小学校で習ったことがないという。われわれの子供時代と学校も様変わりだ(これ以外にも旅人算や時計算などがあった)。まずツルカメ算を説明する(Shuei勉強Laboによる)。

 

(問題)

・ツルとカメが合わせて100匹います。足の数の合計が274本のとき、ツルとカメはそれぞれ何匹でしょう。

 

・これをまずツルカメ算で解く。全部ツルだとすると、足の合計は200本(=2*100)。するとあと74本足りない(=274-200)。かりに一匹カメだとすると、足の合計は2本増えて202本で、不足分は72本となる。こうしてカメを増やしていく。結局不足分の74を2で割ればよい。こうして37という数字がでてくる。つまりカメが37匹であれば、足の合計は274本となり、正解となる。ツルは、残りの数だから63匹(=100-37)となる。

 

・これがツルカメ算の解き方だ。もちろんこの問題は、方程式を立てれば、簡単に解ける。

  

 *ツルをX匹、カメをY匹とすると、以下の2つの方程式が立てられる。

  X+Y=100  (1)

   2X+4Y=274  (2)

 

  (1)式より

  Y=100-X,これを(2)式に代入する。

  2X+4*(100-X)=274

    2X=126より、X=63などとなる。Yは37だ。

 

・ここで面白いのは、生成AIがまさに小学生が解くような形で(ツルカメ算方式で)、問題を解いていたことだ。最初に述べたQ*は、それに方程式で解くやり方を教え込んだことになる。生成AIはまさに人間の知能そのものを実現している。つまり方程式を教えなくても、(われわれが子供のころにやったように)小学生のような形で数学問題を解く。

 

・ここに生成AIのすごみがある。つまり人間の”知能”そのものなのだ。だとすると、どこまで伸びるか、はかりしれない。

 

(参考)

・Gigazine,”OpenAIが開発している新型AI「Q*(キュースター)」とは一体どのようなものだと推測されているのか”,2023.12.08

・Timothy Lee,"The Real research behind the wild rumors about Q* project",2023.12.08

・Karl Cobbe etal."Training Verifiers to Solve Math Word Problems",Cornel Univ, arXiv:2110.14168v2,Oct.27,2021

・Shuei勉強Labo,つるかめ算